僕が彼に初めて出会ったのは1989年の4月。
その頃僕は大学を辞めてニューヨークへ行く為にアルバイトをしていた。
そこにスペインへ行くための資金を稼ぎたいと入ってきたのが彼だった。
僕達はすぐに意気投合し、仕事が終わると安いBarで安いバーボンを飲みながらまだ見ぬ異国の地について、夢について語り合った。
そして1年後、僕はニューヨークへ、彼はスペインへと旅立ったのだ。
当時はまだ携帯電話もなかったので、お互いに連絡を取りたいとき僕達は彼が当時付き合っていた彼女(現在の彼の奥さん)に手紙を書いて中継してもらっていた。
ある時僕のもとに届いた彼女からの手紙にこんなことが書かれていた。
「今日帰ってポストを見てみたら、清さんとえびちゃんの手紙が同時に届いていました。
読んでみると清さんの手紙には毎晩星がとてもきれいだと書いてあり、
えびちゃんの手紙には星は全く見えないと書かれていて、
二人とも本当に遠い別々の場所にいるんだなと思い、少し切ない気持になりました。」